法人の生命保険加入による節税策が規制されました(前編)

特集
05 /24 2019
今年2月14日の日経新聞報道をもとに、いま生命保険業界が大荒れに荒れています。
それは従来から長い間認められていた全額損金に落とせる定期保険について、
国税庁と金融庁が取り扱いを見直すという記事です。

この保険は、保険の加入金額も多いので保険会社のドル箱商品でした。
またそれを斡旋する金融機関にとっても大きな手数料の入る商品でした。
まだ改正通達が出ていないためどうなるかは分かりませんが、いま生命保険業界は一斉に取扱いを自粛しております。

そうなると、今後利益の上がっている企業の節税方法にも大きく影響して来ます。今回はこれを特集で取り上げ、その影響と、その後どんな決算対策が残っているのかも紹介したいと思います。

① 節税保険 国税・金融庁が問題視 ~新聞記事より~

国税庁と金融庁が「節税保険」にそれぞれメスを入れる。
かねて途中解約を前提に、過度に法人税の節税効果を高めた内容や売り方を問題視してきたが、両当局の意見を踏まえて生保各社は同商品の販売を止める。
“顧客ニーズ”をとらえた節税保険をめぐる過当競争に、ようやく終止符が打たれる。

 「やり過ぎなんだよ。これでいったんブームは去るだろう」。金融庁幹部はこう話す。
そのうえで「我々には保障性の商品だと説明しながら、実態は商品設計も売り方も節税目的がメインだ」と憤る。
国税庁、金融庁とも節税保険を苦々しく思ってきたのは同じだが、問題視している観点はやや異なる。

まず、金融庁。節税保険に限らず、すべての保険商品は金融庁が個別に認可している。
いわばお墨付きを与えているわけで、けしからんというのは「後出しじゃんけん」のようにも映る。
だが、金融庁が問題視しているのは認可対象外の付加保険料と呼ばれる運営コスト部分だ。

この付加保険料を高く設定すると契約者が支払う保険料も高くなり、損金扱いできる金額(節税効果)は大きくなる。
生保各社は事前の認可なしに設定できる付加保険料を高くし、損金扱いできる保険料を膨らませる過当競争を繰り広げてきた。

付加保険料が自由化されたのは、生保会社の営業努力でコストを圧縮し保険料を安くするためだった。
だが、節税保険の場合は付加保険料を高くするほど節税したい顧客さんのニーズを満たすという逆転現象が起きた。

金融庁は「節税効果を高めるための恣意的な付加保険料の操作には合理性がない」として、

生保各社に是正するよう指導してきた。節税自体を問題視しているというより、売り方や恣意的な付加保険料の設定に厳しい目を向けている。
実際、同じ節税保険でも、金融庁が“おとがめ無し”としている商品もある。

一方、国税庁は、そもそも途中解約で支払った保険金の大部分が戻ってくることが前提なら、損金でなく資産として計上すべきだという立場だ。
このため、少なくとも保険料の全額を税務上の損金にできる仕組みは見直すべきだとして、今回の生保業界に厳しい措置につながった。

経営者が生命保険に入って万が一に備えるのは自然なこと。
とくに経営者と会社が一体の中小企業ではなおさらだ。
だが、もっぱら節税目的のためだとしたら保険なのかという根本的な疑問にぶち当たる。

そもそも保険が税控除の対象なのは万が一への備えに対する自助努力を支える大義名分があるからだ。
節税保険は保険の本質を問い直している。


② この保険が人気のあった理由

仮に決算時期が3月末日だとすると、通常2月末位には今期の決算予想が立てられます。
その結果、今期利益が大幅に出そうで納税額が多いようなら、3月中に、年払いの法人契約で役員を被保険者にした定期保険に数百万円入ります。

そしてこれを毎年繰り返します。
そうすると、定期保険は保険期間の終わる数十年後には何も返ってこないため、原則として全額損金に算入でき、さらに払い込んだ1年間分の保険料は短期の前払費用なので、月数按分をせずに一括払い込み時の損金に落とせます。

そして解約返戻金がピークになるときに解約をすれば払い込んだ保険料の8割から8割5分位が戻って来ます。
解約するまでの保障もあります。

さらに、資金繰りが厳しくなった期には途中解約をすれば、減額はされるものの、必ずいくらかは返って来る、ということで決算直前対策として非常に使い勝手の良いものでした。

これが問題になったのは、前半部分が死亡保障額の低い節税効果の高いタイプを外資系保険会社が販売を始め、さらに国内生命保険会社各社が追随して同様の商品の販売を始めたことによります。

当局は、こうなると社会的影響が大きく看過できないと考えたものと思います。

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③ 既に契約をしている定期保険への影響

たとえば昨年、定期保険契約に加入して今年が2回目の払い込みだとした場合に、
ア、今後締結する新規の契約から全額損金に出来なくなるはずだから、この新聞報道前の契約なら大丈夫となるのか 
イ、昨年締結の既存契約でもこの新聞報道以降に2回目を払い込んだものは損金に計上出来ないということになるのか 
ウ、昨年払い込んだ分まで遡って益受けしないといけないのかどうか、まだ通達が出ていないため分かりません。

ウはまずありえないですが、イは低い確率で可能性があります。
しかしそうなると契約者から生命保険会社自体の責任を問う声があがるのが必至ですので、保険会社としては政治家を使ってでもイになることは阻止するものと考えます。

税理士・中小企業診断士 安部春之

※この記事は、株式会社アベ経営作成の「あべなび」より、ご寄稿頂きました。

こどもドラッカーのことば

手記
04 /19 2019
昨年1年間、私は毎月1回東京までドラッカー塾に通いました。
早朝6時半の新幹線に乗り、朝10時から夕方6時まで研修があり、7時の新幹線で帰ってくるという、少しハードなスケジュールではありましたが、充実した1年間でした。もう一度機会があれば行きたいと考えています。

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経営の神様の教えは、目からうろこのことばかりで、さすがに日本でもユニクロやイトーヨーカ堂やソニーの経営者などが心酔するのがよく分かります。講座に通って教えて貰ってからは、あの難解な本が若干読みやすくはなりましたが、それでも中身の濃い、分厚い本ばかりで、かなり読みづらいものです。

そんな中、今年2月25日に「こどもドラッカーのことば」という本が出版されました (日本図書センター 斎藤孝 監修) ので早速買って読みました。40冊以上に及ぶドラッカーの難解な著書を、子供向けにまとめるとどういうことになるのか非常に興味がありました。

この本は「成果をあげる力が身につく!」という副題のもと、ドラッカーの教えを分かりやすく24にまとめています。わずか71頁ながら、大人でも充分読みごたえのある本です。少し抜粋をして紹介します。

01「どんな人でも成果はあげられる。特別な才能なんていらないよ。」
世の中のほとんどの人はふつうの人。それでも、成果をあげている人はたくさんいるよ。
なぜなら、その人たちは、成果をあげるための考え方や習慣を学ぶことによって、その力を身につけたからなんだ。
つまり、もともと特別な才能があったわけではないんだよ。

02「成果はいつも強みから生まれるよ。」
ドラッカー先生によると、成果はいつも強みから生まれるんだって。
人は得意なことや自信のあることだと、やる気が出て前向きに努力できたり、いろんなアイデアが浮かんできたりするものだよね。
だから、自分の強みを見つけて、その強みをしっかり使うようにすることが、成果をあげる近道なんだ。

03「強みを見つけたいなら、できないことではなくできることだけ目を向けよう。」
ドラッカー先生は、強みを探すときは、できないことではなく、できることにだけ目を向けなさいといっているよ。
あれができない、これもできないなんて、自分の弱みばかり考えていては、自信をなくすだけ。
それでは、きみにどんなにすばらしい強みがあったとしても、それを見つけることはできないんだ。

04「弱みは克服できても、強みにするのはむずかしい。」
弱みを克服するためには、たくさんの時間とエネルギーが必要なもの。
それに、たとえたいへんな努力をして、弱みをふつうのレベルにできたとしても、それをすでに強みにしている人には、かなわないことが多いんだ。
だから、まずは弱みを忘れて強みに集中しよう。弱みの克服は、強みを見つけて自信がついてからでも遅くないよ!

05「強みを最大限にいかすには、一番だいじなこと1つだけに集中しなければいけないよ。」
人はみんな、使える時間とエネルギーに限りがあるもの。
やるべきことがいっぱいあるからといって、同時にあちこちに手を出すと、すべてが中途半端で終わってしまうよ。
そんなことでは、せっかくの強みをいかすことはできないし、成果をあげることもむずかしくなってしまうはず。

いかがでしょうか?分かりやすいと思いませんか?
私がドラッカー塾に通って得た結論でもあり、今後の私どもの事務所としての行動規範が「強みを掘り下げる」そして「その活動を応援する」です。この本から少し勇気を得ました。
税理士・中小企業診断士 安部春之

※この記事は、株式会社アベ経営作成の「あべなび」より、ご寄稿頂きました。

芦屋の資産家ら30億円超申告漏れ 国税局、富裕層監視(後編)

特集
03 /29 2019
芦屋の資産家ら30億円超申告漏れ 国税局、富裕層監視(前編)

(3) 今回の国税当局の判断
① 今回の国税当局の税務判断と、納税者の認識の相違点で考えられること
 まさに今回の一斉指摘は、単なる円に換えただけではなく、この質疑応答事例のように、ドル預金を取り崩して、外貨建てMMF投資等があったものと考えられます。そこでの為替差損益を指摘されたものと思います。質疑応答事例にある、新たな経済的価値に変わったという行為が、不動産など明らかに形が変わった場合はともかく、金融資産としては預金も株も公社債も同じものだろうという国民感情が通じなかったということです。 

 これらは法律で明確に規定をされている訳ではないのが、納税者としては納得のいかないところでしょう。金融機関に勧められて外貨建ての資産を持ったのは良いが、そこまでの税金の説明は受けなかったという嘆きの声もあろうかと思います。

 そこで、税法に明文規定がない場合に、参考にしなければならないのが、裁判所で争った裁判例や、裁判とまでは行かないまでも、国税局とは別組織である国税不服審判所で争った裁決例です。これらは時に税法条文と同じ働きをすることがあります。しかしこれについて明確に争った事例は確認できませんでした(見落とし?)。あるのは、外国通貨を円貨に変えた場合の下記の裁決例等です。しかし、仮に争ったとしても国税庁がこれ程言い切るからには勝つことは難しいでしょう。

(4)国税不服審判所裁決例
① 納税者が敗訴している事例
《タイトル》
 請求人が平成25年中に行った外国通貨建預金の払出しにより生じた為替差損益の金額は、同年分の収入すべき金額に該当するとした事例 (平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更生処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却 平成28年6月2日裁決)

《ポイント》
 本事例は、本件における為替差損益については、外国通貨を円貨に交換して口座から払い出した時に所得税法第36条《収入金額》第1項にいう収入すべき金額が実現したものとして所得を認識するとしたものである。

《要旨》
 請求人は、平成25年分における請求人の外国通貨建預金(本件外貨預金)の払出しにより生じた為替差損益(本件為替差損益)の金額は、請求人名義の本件外貨預金の口座を開設した平成21年から最終払出日の平成25年までの間にわたり継続して行われた取引であるから、この期間を基礎として計算されるべきである旨主張する。

 しかしながら、本件為替差損益については、外国通貨を円貨に交換して本件外貨預金の口座から払い出した時に所得税法第36条《収入金額》第1項にいう収入すべき金額が実現したものとして、所得を認識する必要がある。 

 したがって、請求人の平成25年分の雑所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、請求人が平成25年中に外国通貨を円貨に交換して本件外貨預金の口座から払い出した時に生じた各為替差損益の額の合計額とされるべきである。

(5)租税回避摘発へ海外55万口座包囲
① 平成30年12月14日付、日経新聞報道
 国税庁は2018年秋、日本人や日本の法人などが海外64ヶ国・地域に持つ約55万件の金融口座情報を入手した。租税回避地 (タックスヘイブン)も含まれ、富裕層の海外資産の把握に有効とされる。今後、国税当局がグローバルを舞台にした脱税や租税回避策の解明を進めていく中、既に対策に動き出した富裕層も出てきた。
~中略~
 経済協力開発機構 (OECD) で策定されたCRS (共通報告基準) という新制度に18年から日本が参加したことにある。各国の税務当局が、自国の金融機関に外国に住む顧客 (非居住者) の口座情報を報告させ、交換できる制度だ。顧客の住所・口座残高などが対象となり、隠し口座の発覚など海外資産が「ガラス張り」になる可能性がある。

 これまでの国税当局の調査では個人口座の特定に至るまで難航するケースも多いと見られる。例えば過去には別件を装って、本命の脱税事案の関連情報を探る手法である「横目」を駆使。1993年には自民党の金丸信氏を脱税で摘発した。CRSが大きく異なるのは、口座残高などの情報が自動的、電子的、義務的に毎年大量に寄せられるという点だ。

 国税当局は、5千万円超の海外資産の記載を義務付けた 「国外財産調書」 などと、CRSの情報などを照合し、富裕層の海外資産への課税に力を入れる。「武器となることは間違いない。多額で時効が迫っているようなものに目をつけていくだろう」(国税OBの税理士)
 海外の税逃れに対する包囲網が狭まる中、対策を講じる動きも活発化している。「あなたの口座情報を日本の国税当局に提供します」。17年ごろから、海外の金融機関に口座を持つ日本の富裕層などに、こんな趣旨の手紙が届いている。金融機関がCRSに基づき顧客情報を税務当局に報告することの確認を事前通知しているとみられている。


 富裕層を顧客に持つプライベートバンカーによると、手紙を受け取った人の中には、海外口座を解約する人や新制度では報告対象とならない海外不動産に資産を組み替える人もいるという。都内の弁護士は「手紙が届いて、慌てて資産回避先を相談してくるような人もいた」と明かした。
~中略~
 国境をまたぐ租税回避への批判が国際的に高まったのは、2000年代後半。こうした機運の高まりを背景に、OECDや20ヶ国・地域(G20)での議論を経て、顧客情報の開示に消極的だったタックスヘイブンもCRSの枠組みに参加した。

 いかがでしょうか?相続対策を見込んで海外に資産を移していた場合も監視が厳しくなり、海外資産の組み換えも、為替差損益に注意が必要となりました。

税理士・中小企業診断士 安部春之

※この記事は、株式会社アベ経営作成の「あべなび」より、ご寄稿頂きました。

芦屋の資産家ら30億円超申告漏れ 国税局、富裕層監視(前編)

特集
03 /22 2019

平成30年11月22日付の朝日新聞によると、冒頭のように全国有数の高級住宅街があることで知られる兵庫県芦屋市の資産家らに対して大阪国税局が税務調査に乗り出し、平成29年7月からの約1年間で、そのうち少なくとも50人以上が総額30億円超の申告漏れを指摘されたことがわかりました。

国税当局は全国で富裕層の税逃れへの監視を強めており、一つの地域での集中調査としては異例の規模になったというようなショッキングなニュースです。

そこで今回の特集は、何故そのような指摘が行われたのかという点について検証します。
これにはドル預金やドル資産を円に転換しない限り為替差損益を認識しなくても良いと考える一般的な国民感情と、国税当局の取扱いの違いがあったと考えられます。

また後述しますように、国際的な情報交換の仕組みが出来て来たことによります。

(1)報道内容
① 朝日新聞記事抜粋

 関係者によると、申告漏れを指摘されたのは、特に多額の資産を持つ「超富裕層」が多いとされる同市六麓荘町などに住む一部の資産家や会社経営者ら。
 外国通貨を円に換えるなどして得た為替差益や、相続財産の一部を申告していないケースが目立ち、仮装・隠蔽を伴う所得隠しも一部認定されたという。
 過少申告加算税などを含む追徴税額は計10億円規模に上るとみられる。

 国税庁は富裕層の税逃れへの監視を強化しようと、平成26年に東京、大阪、名古屋の3国税局に「富裕層プロジェクトチーム(PT)」を設置。
富裕層や多国籍企業が税逃れに利用しているとされるタックスヘイブン (租税回避地) の実態を暴いた「パナマ文書」などが注目される中、平成29年までに全国12カ所の国税局・国税事務所の全てに拡大し、東京国税局管内は麻布や世田谷など、大阪国税局管内は芦屋や西宮などの各税務署にもPTを置いた。芦屋では平成29年7月以降、約25人態勢で調査していた。

(2)為替差損益に関する税務上の取扱い
① 外貨建取引の都度、為替差損益を認識
 所得税法では、居住者が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額により、各年分の各種所得の金額を計算するものとされています(所法57の3①)。つまり、外貨建取引を行った場合には、取引の都度、為替換算を行い、為替差損益を認識する必要があります。ただ、法律の規定としてはこれだけです。

② 29年8月発行の税務の解説書 (税務通信) の記事によると
 現行の法令では、外貨建預金をもって株式など他の資産を購入した場合の課税の取扱いについての直接的な規定はない。国税庁が公表している質疑応答事例「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して貸付用の建物を購入した場合の為替差損益の取り扱い」が参考となる。
 それによると、外貨建預金をもって貸付用の建物を外貨建取引により購入した場合には、新たな経済的価値 (その購入時点における評価額) を持った資産が外部から流入したことにより、それまでは評価差額に過ぎなかった為替差損益に相当するものが、所得税法36条≪収入金額≫の収入すべき金額として実現したものと考えられるため、当該建物の購入金額の円換算額とその購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額との差額 (為替差損益) を所得として認識する必要があるとしている。

 外貨建預金で株式を購入した場合や、日本円を米ドルに交換し、その後ユーロに交換した場合なども考え方は同様だ。

 株式購入の場合は、株式購入価額の円換算額とその購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額との差額を所得として認識する必要がある。日本円を米ドルに交換し、その後ユーロに交換した場合には、米ドルをユーロに交換した時に、ユーロへの交換時の円換算額と当初円から米ドルへ交換した金額との差額を為替差損益として認識することになる。

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③ 国税庁の質疑応答事例の平成28年11月28日ホームページ更新版によると
これをさらに明確な形で定義しています。
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預け入れていた外貨建預貯金を払い出して
外貨建MMFに投資した場合の為替差損益の取扱い                                  
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≪照会要旨≫
米ドル建で預け入れていた預金10万ドルを払い出し、その全額を外貨建MMF(米ドル建公社債投資信託)に投資しました。この場合、その外貨建MMFに投資を行った時点で預金に係る為替差益を所得として認識する必要はありますか。
預金の預入時のレート・・1ドル=90円(円からドルへの交換と預金の預入は同日)
外貨建MMF投資時のレート・・1ドル=105円
(注)便宜上、預金の利子は考慮していません。

≪回答要旨≫
 為替差益を所得として認識する必要があります。
 外貨建取引とは、外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいい、居住者が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引の金額の円換算額はその外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとされています。
(所得税法第57条の3第1項)

 照会のように、外貨建の預金をもって外貨建MMFに投資した場合には、新たな経済的価値 (その投資時点における評価額)を持った資産 (公社債投資信託の受益権) が外部から流入したことにより、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが所得税法第36条《収入金額》の収入すべき金額として実現したものと考えられますので、当該外貨建MMFの投資金額の円換算額とその投資に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)を所得として認識する必要があります。
 為替差益(105円-90円)×10万ドル=150万円
 なお、外貨建MMFの譲渡による所得の金額を計算する際、当該外貨建MMFへの投資時の為替レートによる円換算額をその取得に要した金額として所得を計算することになります。(後編へ続く)

税理士・中小企業診断士 安部春之

※この記事は、株式会社アベ経営作成の「あべなび」より、ご寄稿頂きました。

イノベーションと改善の違い(後編)

手記
02 /22 2019
イノベーションと改善の違い(前編)

また、スタンフォード大学学位授与式でのスピーチは心を揺さぶるスピーチでした。
人生から学んだ3つの話をしますと前置きして、1 つ目は「点と点をつなげること」、2つ目は「愛」と「敗北」について、そして3 つ目の話は「死」についてです。
その中から3つ目の話を一部抜粋します。

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『17 歳のとき、次の言葉をどこかで読みました。
「毎日、それが人生の最後の日だと思って生きれば、いつか必ずそのとおりになるだろう」
これは、私にとって印象的で、それ以来、これまでの33 年間、私は、毎朝、鏡を見てそして自分自身に問いかけています。
「今日が人生最後の日だとしたら、今日しようとしていることは、やりたいことだろうか?」
「ノー」という日が、あまりにも長く続くようなら、何かを変える必要があるとわかります。
あらゆるものはまもなく死んでいくということを意識することは、重大な選択を迫られたときの最も重要なツールです。
なぜなら、ほとんどすべてのもの ― 外部からの期待、プライド、屈辱や失敗に対する不安、これらは死に直面したとき、本当に重要なもののみが残るからです。
死に向かっていると意識することは、何かを失ってしまうという考えに陥ってしまうことを避ける最善の方法です。
あなた方はすでに丸裸なのです。心に従わない理由はないのです。』

いかがでしょうか?ジョブズは仏教関係の本を何冊も読み、日本の禅についても興味を持っていたことは、よく聞くところでしたが、こんな死生観を持ち続けていたからこそ、多くのことを成し遂げることが出来たのだということが分かりました。
我々のような凡人には到底考えの及ばないことと思うことは簡単ですが、年頭に当たり今年はそう意識することも悪くないなと感じました。
税理士・中小企業診断士 安部春之

※この記事は、株式会社アベ経営作成の「あべなび」より、ご寄稿頂きました。

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